※本コラムは、ラウンドフラット社「筋肉研究所」メールマガジン(2016年6月3日発刊)に寄稿した原稿です。
健康を維持するために積極的に身体を動かすことが良いのは知られています。それでは、どれくらい身体を動かすことが望ましいのでしょうか? そのひとつの答えが「健康づくりのための身体活動基準2013」(厚生労働省)に提示されており、18~64歳の場合、「23METs・時/週」が身体活動量の目標値となります。Mets(メッツ)という耳慣れない単位が出てきましたので、分かりやすく歩数に置き換えると、1日あたり8,000~10,000歩に相当します。 最近はスマホにも歩数計が内属されており、歩数を測りやすくなりました。一度、自分の現状の歩数を調べてみてはいかがでしょうか?通勤の時以外は座りっぱなしという生活をされている方は1日4,000~5,000歩くらいかも知れませんし、休日でほとんど家から出ないで過ごすと3,000歩に満たないかも知れません。8,000~10,000歩を達成するには、少し意識して身体を動かす必要があります(なお、電車やエスカレーターがなかった江戸時代の人の歩数は1日30,000歩くらいだったという説もあります)。 下図は、1日平均でどれくらいの歩数があると、どのような病気・病態を予防できるかを示しています。
2,000歩でねたきり予防、4,000歩でうつ病予防、5,000歩で認知症や心疾患、脳卒中の予防につながります。先ほど挙げた8,000~10,000歩を達成すると、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボなど、多くの生活習慣病の予防が期待できます。この際に重要なのは、通常速度の歩行だけでなく、速歩きも取り入れることです。速歩きは、通常歩行ではあまり活動しない箇所の筋肉を動かし、循環機能にも良い刺激を与える健康効果の高い運動です。歩数の横の列に記載してある速歩き時間を参照してください(例えば、8000歩が目標の場合、その内20分は早歩きとしましょう)。 ※ 65歳以上の方を対象にした研究から導かれた結論ですので、全年代にこのまま当てはまらない可能性はありますが、ひとつの目安にしてください。 1,000歩(おおよそ10分の歩行)増やすと予防できる病気も格段に増えます。いきなり10,000歩を目指すのではなく、今より1,000歩増やすことを目標に、それを達成するための自分ができる行動を考え、実行しましょう。
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